ストレスの多い現代では、夜に眠れないなどで悩んでいる方は意外と多く、5人に1人が睡眠の悩みを抱えています。
そんな時に睡眠薬や睡眠サプリに頼る方も多いと思いますが、実は漢方薬も有効な不眠対策の一つです。
今回は、そんな漢方薬の考え方や不眠への効果についてお話ししていきたいと思います。
そもそも不眠の原因は?
ひとくくりに「不眠」と言われますが、不眠の原因には精神的なものと身体的なものがあります。
不眠の身体的な原因
身体的な原因とは、具体的には「加齢」「痛み」「痒み」などがあります。
年齢を重ねると、身体的に眠れなくなることに加え、頻尿や夜間尿で夜中に目が覚めてしまうことも不眠の原因となります。
また、不規則な生活習慣やアルコール・タバコ・カフェイン、騒音や明るさなどの環境も不眠を引き起こす原因となりえます。
精神的な原因
精神的な原因としては、仕事や人間関係による疲労やストレス、生活リズムの乱れなどによるものが多いです。
また、ストレスや疲れがたまると、自律神経のバランスがくずれ、緊張状態の時に働く神経である交感神経が活発になってしまい、リラックスする副交感神経にうまく切り替わりません。
すると、常に身体が活動状態になり、夜になっても眠りに入りにくくなってしまいます。
漢方の不眠症への効果
不眠の原因を大きく2つに分けましたが、漢方が効くと言われているのは主に「精神的な原因」による不眠です。
漢方では、五臓の「心」「脾」「肝」が睡眠に大切だと考えられていて、これらが崩れると不眠の原因となると考えられています。
- 「心」:精神の安定
- 「脾」:栄養の消化吸収、エネルギーを作り出す働き
- 「肝」:感情のコントロールや自律神経の調整
漢方薬は、睡眠薬や睡眠導入剤などのように、直接に脳に働きかけて眠りへ誘導するわけではありません。
緊張や不安などの自然な睡眠が妨げられている原因を取り除き、「心」「脾」「肝」のバランスを整えることによって睡眠を改善していこうという考え方です。
漢方薬の長所と短所
漢方薬の長所
漢方薬は、睡眠への作用が穏やかで、副作用もほとんどありません。
うつ状態や不安状態を改善する作用も持っていますので、漢方薬を取り入れることで徐々に不安状態が緩和されていき、自然と眠りにつけるような体になっていきます。
漢方薬の短所
漢方薬の短所は、やはり即効性がないことです。
漢方薬が効いてくるまでには、ある程度の期間が必要となりますので、効果を実感できなくても飲み続ける必要があります。
また、いままでに睡眠薬に頼っていた方は、睡眠薬から漢方薬に移行していく段階では医師に相談された方が良いかと思います。
不眠症に効く漢方薬
このように、即効性はありませんが、不眠の解消のために漢方薬はとても有効です。
では、不眠の時におすすめの漢方薬をご紹介していきます。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯は、体にこもった熱を冷ますとともに、心を落ち着かせる効果があります。
ストレスが強くイライラしてしまう方におすすめです。日中は元気だけど、夜に興奮して寝付けないという方はぜひ試してみてください。
加味帰脾湯(かみきひとう)
加味帰脾湯は、消化器の働きを助け、気持ちを落ち着かせる効果があります。
長時間寝ているはずなのに日中でも疲れやすく、夜寝る時も「体に疲れがたまっているな」と感じる方は、こちらの漢方薬もおすすめです。
おわりに
今回は、漢方の不眠への効果とおすすめの漢方薬についてお話ししてきましたが、いかがでしたか?
漢方は、心と体の緊張を解いて、自然と眠りにつけるように促します。
まだ睡眠薬も睡眠導入剤も試していないという方は、ぜひ取り入れてみてください。