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専務と常務・執行役員と取締役等の違いについて

専務と常務・執行役員と取締役等の違いについて

会社に勤めていると、専務や常務・執行役員や取締役という役職を耳にすることがありますが、このあたりの違いをきちんと把握している方は、なかなか少ないと思います。

そこで今回は、これらの違いについて詳しくお話ししていこうと思います。

専務と常務の違い

専務と常務の違い

会社法(平成17年7月26日法律第86号)における役員等とは、取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人を指す(第329条、423条)とあります。この法律関係はいずれも委任契約で結ばれています。

従いまして、従業員のような雇用契約関係はなくなります。一般的な職名で「専務取締役」とか「常務取締役」とされ使いならされています。しかし、これは役職名(通称)であって上述しましたとおり、会社法にその根拠を求めることはできません。このように肩書の位置付けや役割を持たせることは、ひとえにその会社の采配に任せているのが現状となっています。

欧米諸国が求める「企業と経営の分離」にはまだ距離感は残りますが、例えば、会長〉社長〉専務〉常務〉平役員というような序列をなしているのが一般通例になります。

それでは、世俗的な表現の専務(Senior Managing Director)、常務(Managing Director)の役職の定義を見てまいりましょう。

専務とは、会社の意思決定をするときに社長が不在時にその業務を代行、補佐をし、会社の経営管理や監督業務を行う役割のものをいいます。

また、常務とは、日常茶飯事の業務の執行を行い、社長を補佐する役割を果たし、いわば会社の意思決定と業務執行の橋渡しをする存在をいいます。

常務執行役員と執行役員の違い

常務執行役員と執行役員の違い

企業の活動に関する法律として商法があり、複雑多岐の社会に適用できるようにその都度の改正がなされ今日に至っています。

ことの発端は、1994年(平成6年)から2009年(平成21年)まで存続していました年次改革要望書(日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく要望書)にあります。ここでは、商取引等の柔軟性と米国基準に適合するようにとの指導がなされていました。

その作業の一環としまして、平成17年(2005年)商法の会社編は会社法として独立した法律になりました。そこで常務執行役員と執行役員の名称ですが、この法律のどこにも出てまいりません。この執行役員とは、幹部の役員から依頼を受けて、事業部門のトップとしまして事実上の事業運営を担うポストのことをいいます。

会社法上は「役員等」としまして、取締役、監査役、執行役、会計参与、会計監査人を予定しています。

当然のことながら、役員は取締役会に出席し会社方針などの意思決定をすることができかつ商業登記法により登記義務が果たされます。しかし、この両者につきましてはこのような適用は受けません。この違いはどこにあるのでしょうか。繰り返しになるかもしれませんが、

① 法律上は、会社とは雇用関係にあり一般従業員(社員)と同様になります。
② 常務執行役員と執行役員の名称は、会社独自のルールで自由に名乗っているだけなのです。
③ 一般的には、部長職以上の役職者が任命されるのが通例になっています。

さらに、この両者につきましては大規模会社に多く見られるケースになります。
法律上の役員の地位は固定されています。これは、「船頭多くして船山に登る」のたとえではありませんが、そのために会社の意思決定数を限定しています。多様化する時代に役員以外の社員へ、如何に名称を付けるかに人事部が腐心しているのが現状です。これは、あくまでも会社独自の呼び名なのです。

常務執行役員と取締役の違い

常務執行役員と取締役の違い

この両者の決定的な違いを一言で申しますと、取締役が会社の経営者であり常務執行役員は一般従業員と同様の地位にあるということです。

厳密に言いますと会社法上の取締役とは、株式会社の取締役会の構成員として会社の業務執行に関する意思決定や管理・監督を行う者になります。

この取締役には、代表取締役、専務取締役、常務取締役、社外取締役のポスト表現がなされています。これらの役員(取締役)と従業員(常務執行役員)の違いは、報酬や給与にも出てまいります。

前者は、株主総会で決定された役員報酬規程に基づき報酬の支払いがなされ、後者は労働の対価としての給与支払いになります。種々ポスト表現の違いの分かりにくさもありますが、ここで会社法上の「役員等」に含まれます執行役について見てまいりましょう。

この執行役は、会社の業務を執行する者であり、委員会設置会社ではその設置が義務付けられています。ここでの委員会設置会社は、指名委員会、監査委員会、報酬委員会を置く株式会社になり会社法にその内容が規定されています。

役員と従業員の関係

通知書の文例

ここで、役員と従業員の関係につきましてまとめてみますと、
「役員」は、① 取締役 ② 監査役 ③ 会計参与になります。
「従業員」は、① 執行役員 ② 本部長、部長、課長、係長、主任、一般社員となります。

簡単な分け方のついでになりますが会社法の規定の有無で分けたみたいと思います。

1) 会社法に規定のある役員・役員等
取締役、代表取締役、社外取締役、委員会設置会社の執行役(執行役員ではありません。)、代表執行役、監査役、社外監査役、会計参与、会計監査人になります。
2) 会社法に規定のない内部職制
会長、社長、副社長、専務、常務、執行役員、相談役、顧問

以上の区分けになります。このような表現区分をすることより混同を避けることができることになります。

おわりに

今回は、専務や常務・執行役員や取締役という役職の違いについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

知っていると役立つ場面もあると思いますので、ぜひ覚えておいてくださいね。